PRACTICE MANUAL
測定値を発声感覚につなげる方法
Vocal Lensは正解を採点するものではなく、反復練習の違いを映す鏡です。同じ音・母音・距離・環境で比較するほど値が役立ちます。
1. まず測定環境をそろえる
できるだけ静かな部屋で、マイクを口の正面15–30cmに置きます。位置や入力ゲインが変わるとスペクトラムと2–4 kHz比も変わります。ブラウザ補正はINPUT CHECKに表示されます。
- マイク開始後1–2秒静かにしてノイズフロアを測ります。
- 楽な音量で母音を伸ばし、ピークが0 dBFSに届かないことを確認します。
- 比較時はマイク、距離、角度、部屋をできるだけ同じにします。
数値を改善するために力を加えず、練習を止めてください。本ツールは医療診断や音声治療の代わりではありません。
2. 音程軌跡を4つに分けて読む
中心誤差
直近の平均音程が目標から何セント離れているか。瞬間値ではなく繰り返す偏りを見ます。
ドリフト
ロングトーンが時間とともに上下する速度。息の減少と緊張増加を分ける手掛かりです。
残留揺れ
規則的な4–8 Hzビブラートと緩やかなドリフトを除いた不規則な変動です。
目標内滞在
目標音±15セント内にいた時間割合。幅広いビブラートではこの値だけで判断しません。
中心誤差で平均位置を合わせ、次にドリフトを減らし、最後に残留揺れを見ます。全てを同時に満点にしようとすると身体感覚から離れやすくなります。
3. ビブラートは一つの理想速度より規則性
ビブラートを速度・幅・規則性に分けます。形はジャンル、音域、強さ、個人で異なります。一つの数字より、同じフレーズでタイミングと幅を意図して再現できるか確認します。
最初に約1秒ストレートトーンを保ってから加えると、開始点と周期が見やすくなります。一方向へ動き続けながら揺れる場合はドリフトが先に表れます。
4. フォルマントと倍音は別の情報
倍音は声帯の基本周波数の整数倍成分、フォルマントは声道共鳴で強調された帯域です。同じ音程でも母音、舌、唇を変えるとF1・F2と倍音の強調が変わります。
FORMANT CONF.は良いフォルマントの点数ではありません。ピークの明瞭さ、連続性、妥当な順序、S/N比を組み合わせた推定信頼度です。高音では低信頼度の値を解釈しない方が安全です。
5. 2–4 kHz比は採点表ではない
2–4 kHzのエネルギーを0.2–2 kHzと比較したdB値です。音量、母音、マイク角度・距離、部屋の反射に左右され、高いほど良いとは限りません。
比較したい音で楽な自分の基準を保存し、同条件で母音や共鳴戦略を変えて差だけを見ます。他人や異なるマイクの値とは比較しません。
15分練習の例
- 3分: 楽な音域で入力環境とノイズフロアを整えます。
- 4分: 一音をまっすぐ保ち、中心誤差とドリフトだけを見ます。
- 4分: 同じ音と母音で舌・唇を少し変え、F1・F2を観察します。
- 4分: 画面を見ずに1回、確認しながら1回繰り返し、聴覚・感覚・データを結びます。